CRM導入のメリット③ レポート機能で会議用の集計をなくす
定例会議のたびに各担当へ進捗を集計させていると、1回30分でも月2時間、年24時間が集計作業に消えます。CRMのレポート機能を使うと、入力された情報がそのまま条件付きで抽出されるため、共有という作業自体がなくなります。Zoho CRMを例に、先に決める2つのルールと使えるレポートの作り方を整理します。
定例会議のたびに各担当へ進捗を集計させている状態は、1回30分でも年間24時間の作業になります。 週1回で月2時間、それが担当者の人数分だけ発生します。
CRMのレポート機能を使うと、この集計がなくなります。入力された情報が指定した条件でそのまま抽出されるため、「共有」という工程自体が消えます。
ただし、レポートの精度は入力ルールの精度で決まります。先に決めておくことが2つあります。
集計と共有に、なぜ時間がかかるのか
情報が1か所に集まっていないと、各担当の報告のタイミングも、情報が置かれている場所もばらばらになります。見たいときに見たい情報へたどり着けない状態です。
更新の際にも共有という工程が1つ挟まるため、メンバーが見ているデータが最新でないという状況が生まれます。共有が忘れられれば、更新されないまま残ります。
そして定例会議です。会議のたびに各担当へ目標の進捗を集計させ、表やグラフに加工させる。1回30分は長い時間ではありませんが、1ヶ月で2時間、年間で24時間が集計と加工だけに消えます。
この時間は、集計した数字から何が読み取れるかを考える時間には一切使われていません。
レポート機能で何ができるのか
レポート機能とは、CRMに入力された情報を、所定の条件で抽出・一覧化して表示できる機能です。 ここではZoho CRMを例に、具体的に何が変わるかを見ていきます。
「共有」という作業がなくなる
各担当がCRMに入力したものは、その時点でレポートに反映されます。提出や報告という操作を義務付けなくても、その日のレポートが最新の状態になります。
このために先に決めるのは、次の2つだけです。
- どんな情報を集めるかをあらかじめ決め、項目として設定しておく
- 毎日◯時までにCRMにその日の活動を入力する、といったルールをチーム内で決めておく
この2つがないと、抽出はできても中身の埋まっていないレポートができます。 逆にこの2つが決まっていれば、あとはCRMにアクセスするだけで、条件ごとに抽出されたデータを見られます。
会議用の資料作りがなくなる
複数人がアプローチしていたり、時系列がばらばらになっていたりする顧客の情報も、条件を指定するだけで取り出せます。 表やグラフの形で出力することもできます。
会議では、レポートを見ながら進捗を確認し議論する形になります。参加者へ事前に「このレポートを見ておいてください」と伝えておけば、当日の状況説明も短く済みます。
数字を作る時間が減った分を、その数字から何が読み取れるかを考える時間に回せます。 従来は抽出と加工に時間を取られ、肝心の考察や改善策の検討に十分な時間を割けていないことが少なくありませんでした。
最初に作るレポートは3本
定例で必ず見るものを3本前後から始めてください。
| レポート | 抽出条件の例 | 何を判断するか |
|---|---|---|
| 進捗 | 今月中にクローズ予定の商談 | 着地の見込みが足りているか |
| 活動量 | 担当者別・期間別の接触件数 | 行動量が落ちている担当がいないか |
| 滞留 | 30日以上ステータスが動いていない商談 | 止まっている案件がどこにあるか |
3本目の滞留レポートが、実務で最も効きます。 進捗と活動量は報告として上がってきますが、止まっている案件は報告に出てきません。条件を指定して機械的に抽出しないと見つかりません。
最初から十数本作ると、どのレポートを見て何を判断するのかが決まらず、結局使われないものが残ります。判断に使うものだけ作ってください。
よくある失敗
1. 入力ルールを決めずにレポートだけ作る
抽出条件は正しくても、参照する項目が空欄であれば、出てくるのは空のレポートです。レポートを作る前に、その項目を誰がいつ埋めるかを決めてください。 入力ルールの作り方はCRMの運用方法で扱っています。
2. レポートと別に手作業の資料を作り続ける
レポートを用意したのに、会議では従来どおり手作業の集計資料を使っているケースがあります。この状態では作業が増えただけです。どちらか一方を廃止しないと、二重管理になります。
3. 人によって入力の粒度が違う
同じ「商談」でも、初回の面談から登録する人と、見積提出後に登録する人が混在していると、件数を比べても意味がありません。登録するタイミングの定義を1つに揃えてから、レポートで比較してください。
まとめ
レポート機能で削減できるのは、集計と加工にかけていた時間です。週1回30分の集計は、年間24時間になります。
効果を出す条件は2つ。集める情報を項目として先に決めることと、いつまでに入力するかをチームで決めることです。この2つがないレポートは空欄のまま出力されます。
作るのは、進捗・活動量・滞留の3本から。特に滞留の抽出は、報告では上がってこない案件を見つけます。
情報を1か所に集める話は顧客情報・商談情報の一元化、レポートから見つけた課題を実行に移す話はPDCAサイクルの見える化・仕組化、日々の入力を軽くする話は日報の提出と保管をなくすで扱っています。
トライエッジでは、レポートの設計と入力ルールづくりを含めたCRM構築・運用を支援しています。ご相談はお問い合わせから承ります。
FAQよくあるご質問
Q. CRMのレポート機能とは何ができる機能ですか?
CRMに入力された情報を、指定した条件で抽出して一覧・表・グラフの形で表示できる機能です。担当者別の商談件数、今月の受注見込み、特定のヒアリング項目が埋まっている件数といった集計を、条件を指定するだけで取り出せます。入力されたデータをそのまま参照するため、担当者に集計を依頼する工程がなくなります。
Q. レポート機能を使うと、どれくらい時間を削減できますか?
削減できるのは集計と加工にかけていた時間です。週1回の定例会議のために各担当が30分ずつ集計していた場合、1ヶ月で2時間、年間では24時間になります。これが担当者の人数分だけ発生します。レポートを1度作っておけば、以降は同じ条件の集計が自動で最新化されるため、この時間がなくなります。
Q. レポートを使う前に決めておくことはありますか?
2つあります。1つ目は、どんな情報を集めるかを先に決めて項目として設定しておくこと。2つ目は、毎日何時までにその日の活動を入力するといったルールをチームで決めることです。この2つがないと、抽出はできても中身が埋まっていないレポートができます。レポートの精度は入力ルールの精度で決まります。
Q. 会議でレポートを使うと何が変わりますか?
変わる点は2つです。1つ目は、会議の前に資料を作る工程がなくなり、当日は同じ画面を見ながら議論できること。2つ目は、参加者へ事前に該当のレポートを見ておくよう伝えておけば、状況説明の時間も短縮できることです。数字を読み上げる時間が減った分を、なぜその数字になったかを検討する時間に回せます。
Q. レポートは何本くらい作ればよいですか?
定例で必ず見るものを3本前後から始めてください。進捗(今月の商談と受注見込み)、活動量(担当者別の接触件数)、滞留(一定期間動いていない商談)の3種類があれば、定例会議はほぼ回ります。最初から十数本作ると、どれを見て判断するのかが決まらず、結局使われないレポートが残ります。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/伊能 藍子(CRM 導入・運用支援)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。