会計ソフトとCRMを連携させると何が変わるか:3製品と設計の前提
会計ソフトとCRMを連携させると、見積・請求・納品・催促のたびに発生する営業と経理のやり取りが減り、入金や遅延の状況を営業がその場で確認できます。得られる2つの効果と、連携に対応するMFクラウド・freee・請求管理ロボの特徴、そして接続する前に決めておくべき3点を整理しました。
会計ソフトとCRMを連携させると、見積・請求・納品・催促のたびに発生していた営業と経理のやり取りが減り、入金や遅延の状況を営業がその場で確認できるようになります。
ただし、つなげば自動的に効果が出るわけではありません。 顧客情報をどちらで正とするか、どのタイミングでデータを渡すかを先に決めないと、同じ会社が両方に別々に登録されます。
この記事では、連携で得られる効果、CRM連携に対応する会計ソフト3製品、そして接続前に決めておくべき3点を整理します。
連携させると何が変わりますか?
会計ソフトには、会計処理以外の詳細な顧客情報の管理は難しいという弱点があります。また、顧客管理を行うCRMでは、顧客の経理上の状況が掴みにくくなります。
双方を連携させるニーズは高まり、対応するシステムが増えています。得られる効果は大きく2つです。
1. 工数削減・業務の簡素化
顧客との商談や取引のプロセス上には、見積、請求、納品、催促などが時間差で発生します。それぞれのステータスで、営業などの顧客担当と経理とのやり取りが必要になります。
会計ソフトとCRMを連携させれば、このやり取りにかかる時間と手間が大幅に削減されます。個々の顧客情報として、片方が持つ情報をもう片方が活用できるようになり、あらためて作成したり入力したりすることが減ります。
2. 経理情報と顧客情報を同時に確認できる
経理に関わる情報と顧客の詳細情報を、それぞれの担当者が同時に把握できるようになります。リアルタイムに反映されるため、お互いが確認のために連絡を取り合う必要がなくなります。
経理では会計情報の収集や集計の必要もなくなり、分析も迅速に行えるようになります。営業は、担当顧客の入金や遅延の状況をいつでもどこでも把握できるため、即座に活動へ反映できます。
CRM連携に対応している会計ソフトはどれですか?
すべての会計ソフトがCRMとの連携に対応しているわけではありません。CRM連携に対応し、業務システムの環境が整いやすい会計ソフトを3つ紹介します。
MFクラウド
MFクラウドは、Zoho CRMとの連携によって、個々の案件や商談から請求業務までシームレスに管理できます。CRMでは難しかった請求書のメール・郵送、売掛金管理、入金消込、合算請求などもスムーズになります。
対応や記録の抜けや重複などのミスが起こりにくいだけでなく、経理と営業の作業負担も軽減されます。

freee
freeeは、CRM(KintoneやZoho CRM)やSFA(Salesforceやcyzen)との連携に力を入れています。
取引の内容の全貌を最初に把握している営業や開発担当が、CRMからその内容を登録することで自動的にfreeeでの会計処理に反映され、営業担当は入金消込の状況もリアルタイムに確認できます。請求書作成や催促のために経理から営業担当へ流す業務も削減できます。

請求管理ロボ
請求管理ロボは、KintoneやZoho CRMとの連携に対応しています。
顧客ごとに異なる請求周期、請求額、入金方法なども一度設定をすれば、自動的に請求処理が行えます。
顧客の購買・支払い状況の流れやパターンをCRM側で把握できることは、顧客分析にも役立ちます。 顧客が増えてもミスのない処理が実行されます。

接続する前に決めておく3点
連携でつまずくのは、たいてい設定ではなくルールの側です。
- 顧客情報をどちらで正とするか 会社名や住所が両方のシステムにあると、どちらが最新か分からなくなります。マスタをどちらに置くかを先に決めてください。
- どのタイミングでデータを渡すか 受注時なのか請求書発行時なのかで、営業側に見える情報が変わります。商談ステージのどこで連携が走るかを定義してください。
- 営業が入金状況を見てよいか 権限の範囲を決めずに接続すると、あとから制限をかけ直すことになります。
この3点を決めずに接続すると、同じ会社が二重に登録された状態から運用が始まります。 後から統合するほうが手間がかかります。
営業・CRM側から見た価値は何ですか?
会計との連携は経理の効率化の話に見えますが、営業側にとっての意味は「顧客の状態が1画面で分かること」です。
- 入金が遅れている顧客に、追加提案を持ちかけずに済む
- 契約更新の時期を、請求の周期から把握できる
- 取引額の実績が顧客レコードに乗るため、優先順位をつけられる
この3つは、いずれも営業判断に直結します。逆に言えば、CRM側に顧客と商談の記録がそろっていなければ、請求データを流し込んでも紐づく先がありません。
そのため順序としては、CRMで顧客と商談を記録する運用を定着させ、そのうえで請求周りを接続するのが確実です。CRMとSFAのどちらの使い方を主にするかはCRMとSFAの違いの記事、導入全体の進め方はCRM導入の流れの記事、日々の運用の型はCRM運用の記事で扱っています。請求データそのものを顧客分析に使う方法は請求書情報を顧客分析に使う記事をご覧ください。
よくある失敗
1. CRMの運用が定着する前に連携から始める
請求データだけが入っていて商談の記録がない状態では、誰が売った案件かが分かりません。
2. 会社名の表記ゆれを整理せずにつなぐ
「◯◯株式会社」と「◯◯(株)」が別会社として登録され、取引額が分散します。
3. 連携範囲を決めずに全項目を流す
使わない項目まで同期すると、どちらを直せばよいか分からなくなります。
まとめ
会計ソフトも顧客情報を管理するCRMも、それぞれが業務効率化に役立つツールです。連携させることで業務がシンプルになるだけでなく、営業が顧客の状態を1画面で把握できるようになります。
ただし、接続の前に「どちらを正とするか」「いつ渡すか」「誰が見てよいか」の3点を決めてください。ここを飛ばすと二重登録から運用が始まります。
トライエッジはHubSpotゴールドパートナーおよびZoho認定パートナーとして、CRMの導入支援を行っています。会計ソフトをはじめ、さまざまなツールとの連携設計も含めて支援していますので、詳しくはCRM構築・運用をご覧ください。ご相談はお問い合わせより承ります。
FAQよくあるご質問
Q. 会計ソフトとCRMを連携させると何が変わりますか?
2つ変わります。1つ目は工数です。見積・請求・納品・催促は時間差で発生し、そのたびに営業と経理のやり取りが必要になりますが、連携すると片方が持つ情報をもう片方が使えるため、作り直しや再入力が減ります。2つ目は確認の速さです。経理は会計情報の収集や集計をせずに分析でき、営業は担当顧客の入金や遅延の状況をその場で把握できます。
Q. どの会計ソフトがCRM連携に対応していますか?
すべての会計ソフトが対応しているわけではありません。CRM連携に対応している代表例は3つです。MFクラウドはZoho CRMとの連携で案件や商談から請求業務までを一続きで管理できます。freeeはKintone、Zoho CRM、Salesforce、cyzenとの連携に力を入れています。請求管理ロボはKintoneとZoho CRMとの連携に対応しています。
Q. 連携させる前に決めておくことは何ですか?
3点です。1つ目は、顧客情報をどちらのシステムで正とするか。会社名や住所が両方にあると、どちらが最新かが分からなくなります。2つ目は、どのタイミングでデータを渡すか。受注時なのか請求書発行時なのかで、営業側に見える情報が変わります。3つ目は、営業が入金状況を見てよいかという権限の範囲です。この3点を決めずに接続すると、二重登録が発生します。
Q. 請求周期が顧客ごとに違う場合も自動化できますか?
できます。請求管理ロボは、顧客ごとに異なる請求周期・請求額・入金方法を一度設定すれば、以降は自動的に請求処理を行えます。顧客数が増えても処理内容が変わらないため、件数の増加による作業ミスを抑えられます。加えて、顧客の購買・支払いのパターンをCRM側で把握できるようになるため、顧客分析の材料にもなります。
Q. 会計ソフトとの連携はCRMの導入とどちらを先にすべきですか?
CRMの運用が先です。連携は、CRM側に顧客と商談の記録がそろっていて初めて意味を持ちます。商談の記録が入力されていない状態で請求データだけを流し込んでも、誰が売った案件なのかが紐づきません。手順としては、CRMで顧客と商談を記録する運用を定着させ、そのうえで請求周りを接続するのが確実です。
RELATEDCRM / SFAの新しい記事
出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年3月29日公開/2026年8月14日更新。