CRMを触る前にやっておくべきこと②企業内の顧客リストの一元化
CRMは機能性に優れた収納ボックスで、入れる中身がなければ意味がありません。導入前に、誰がどこで何件の顧客情報を管理しているかを1件単位で集約し、入力項目とカテゴリ分類を統一し、管理担当者の承認フローで再分散を防ぐ。この3工程の進め方と、決めておくべき管理項目の具体例を解説します。
CRMの導入は、機能性に優れた収納ボックスを購入するようなものです。箱の中に入れるものがなければ意味がありません。
そのためCRMを導入する前の段階で、会社が持っている顧客リストの情報を前もって「一元化」した状態にし、インポートの準備をしておくことが重要です。
やることは3つです。 誰がどこで何件の顧客情報を管理しているかを1件単位で集約すること、入力項目とカテゴリ分類を統一すること、そして管理担当者の承認フローで情報の再分散を防ぐことです。
社内の顧客リストは、どこまで把握できていますか?
顧客情報の管理方法は、各部署や支店・事業所ごとで管理するケースもあれば、担当者1人が管理していることもあります。まずは、顧客情報を誰が管理しているのかを確認しましょう。
あわせて確認するのは、情報がどの程度散らばっているかです。全国にある支店にバラバラに散らばっているのか、本社の中でも部署ごとに情報を管理しているのか。顧客情報を管理しているチームや管理者のもとに、どのぐらいの量の情報が集まっているのかも知っておきます。
情報の所在が確認できたら、会社としての全件数が何件になるのかを整理します。できるだけ1件単位で漏れがないように、各拠点・各部署から顧客リストの情報を集約しましょう。
CRM導入プロジェクト全体の進め方はCRM導入の流れにまとめています。
会社として「正」となる顧客リストは、どう作りますか?
会社での全件数が明らかになったら、次は各拠点や部署、さらに各メンバー単位での担当数を確定させます。
可能であれば、件数だけではなく、今後保持する顧客情報の項目もこの段階で統一しておきましょう。 情報を一元化する際に直面しがちなのが、管理している人や場所ごとに入力項目やカテゴリ分類などが異なっていて、すぐに一つのデータにまとめられないという状況です。入力項目やカテゴリをこの機会に統一してルール化しておくと、CRM運用開始後も便利です。
もう少し掘り下げます。顧客の基本情報といえば、法人名や担当者の氏名、電話番号やメールアドレスなどが挙げられます。しかし、営業担当が顧客から得られる情報はこれだけではありません。
- 競合他社のサービス利用の有無
- 決算月
など、営業に必要と思われる情報を決めておきます。
また、個人を対象としたビジネスの場合は、その人のパーソナルな部分も情報として残しておくと、商談などの際にちょっとしたネタになります。家族構成やペットの有無、誕生日といった細かい情報を記録しておくかどうかは、議論して決めておくとよいでしょう。
管理する項目が決まると、どのCRMが自社に合うかも判断しやすくなります。製品選定の考え方はZoho CRMとはが参考になります。
顧客リストを整備したあと、運用ルールで何を決めますか?
CRMを導入する段階で顧客リストの整備ができても、そこで安心してはいけません。一元化された顧客情報は会社にとって貴重な財産ですが、ルールや運用方法を決めておかないと、またすぐに情報が分散してしまう可能性があります。
顧客情報を一元化したタイミングで、どのような管理をすれば現場で使ってもらいやすいか、顧客リストの管理や運用について社内で議論をし、決めておけば安心です。
おすすめの例を一つ紹介します。
- まず、顧客リストの管理担当者を決めておきます
- CRMに新規の顧客を追加登録するときには、管理担当者の確認と承認のフローを経ないと追加ができない設定にしておきます
このようにリストの管理担当を置くことで、登録された情報がルールに沿っているかを第三者目線で確認できるほか、リストの重複や不要な顧客リストの追加を防ぐことが期待できます。
現場が使う言葉やKPIの定義をそろえる話は、CRMを触る前にやっておくべきこと③重要KPIの定義を決めておくで扱っています。
まとめ
CRM導入時には、事前に顧客リストの情報を一元化できる時間の余裕を持って進めるのが理想的です。手順は、所在と件数の把握、正となるリストの整理と項目の統一、そして運用ルールの策定の3つです。
顧客情報を一元化した状態にしておけば、導入時の顧客情報のインポートがスムーズになるのはもちろん、導入後の運用シミュレーションも前もって行うことができます。
CRM導入前の準備全体はCRMの効果を最大化するために。導入前にやるべきことを解説、現場の動きの把握についてはCRMを触る前にやっておくべきこと①営業現場の業務フローの再確認をご覧ください。
弊社では、CRMの導入だけではなく、CRM導入前の顧客情報一元化や、CRM導入後の運用ルールについてもコンサルティングを行っております。現在の情報が散乱していて取りまとめが難しいといったお悩みも、お問い合わせよりお気軽にご相談ください。
FAQよくあるご質問
Q. 顧客リストの一元化は、何から手をつければよいですか?
4つの手順で進めます。1つ目は顧客情報を誰が管理しているのかの確認、2つ目は情報がどこまで散らばっているか(全国の支店単位か、本社の部署単位か、担当者1人単位か)の把握、3つ目は各所にどのぐらいの量が集まっているかの確認、4つ目は会社としての全件数の整理です。4つ目はできるだけ1件単位で漏れがないように、各拠点・各部署から集約します。
Q. 一元化のとき、顧客情報の項目はどこまで統一すべきですか?
件数を確定させる段階で、今後保持する項目とカテゴリ分類まで統一しておくのが理想です。法人名・担当者の氏名・電話番号・メールアドレスといった基本情報に加え、競合他社のサービス利用の有無や決算月など営業に必要な情報を決めます。個人を対象としたビジネスなら、家族構成やペットの有無、誕生日を残すかどうかも議論して決めておきます。
Q. なぜCRMを導入する前に一元化しておく必要があるのですか?
CRMの導入は、機能性に優れた収納ボックスを購入するようなもので、箱の中に入れるものがなければ意味がないためです。前もって一元化しておくと、導入時の顧客情報のインポートがスムーズになるだけでなく、導入後の運用シミュレーションも事前に行えます。導入日から逆算して、一元化を終える時間の余裕を持って進めてください。
Q. 一元化した顧客情報が、また分散してしまうのを防ぐには?
顧客リストの管理担当者を決め、CRMに新規の顧客を追加登録するときは、管理担当者の確認と承認のフローを経ないと追加できない設定にします。第三者の目線で、登録された情報がルールに沿っているかを確認できるほか、リストの重複や不要な顧客リストの追加を防げます。ルールを決めずに運用を始めると、情報はすぐにまた分散します。
Q. 一元化の作業は、いつまでに終わらせるべきですか?
CRMへのインポート着手前です。全拠点からの1件単位の集約、入力項目とカテゴリ分類の統一、管理担当者による承認フローの設計という3工程が終わるまでは、インポートに進まないでください。整備が中途半端なままインポートすると、重複データと表記ゆれをそのままCRMに持ち込むことになります。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。