顧客情報の管理方法3つの比較:Excelから移る判断ラインはどこか
顧客情報の管理はExcel、クラウドの表計算、CRMの3択です。Excelで回らなくなる判断ラインは、同時編集が必要になったときと、顧客情報の獲得経路が2つ以上になったときの2点です。3つの方法をメリットとデメリットで比較し、乗り換えのラインと、移行を進める3ステップを整理します。
顧客情報の管理方法は、Excel、クラウドの表計算、CRMの3択です。どれが正解ということはなく、人数と獲得経路の数で決まります。
Excelで回らなくなる判断ラインは2つです。同時編集が必要になったときと、顧客情報の獲得経路が2つ以上になったときです。 展示会の名刺とWebフォームが別々のファイルになった時点で、同じ会社の同じ担当者が二重に存在する状態が生まれます。
この記事では、3つの管理方法をメリットとデメリットで比較し、乗り換えの判断ラインと移行の手順を整理します。
顧客情報にはどんな種類があるのか
まず、社内のどこに何が散らばっているかを棚卸しします。顧客情報の獲得経路を、オフラインとオンラインに分けて挙げます。
オフライン
- 展示会
- セミナー
- アンケート調査
- テレアポ訪問
- 商談
- 購入履歴
- 飛び込み営業
- 電話による問い合わせ
オンライン
- Webサイト(訪問・アクション履歴)
- Web経由での購入履歴
- メールやフォームでの問い合わせ
- 会員登録
- アンケート調査
- 広告
- 資料ダウンロード
- ウェビナー・セミナーの申し込み
この一覧のうち2つ以上に該当し、それぞれ別のファイルで管理されているなら、乗り換えの検討に入る段階です。
バラバラに管理していると何が起きるのか
上に挙げた情報は、項目ごとに入手先や担当者が異なることがあります。各々がバラバラに管理していると、マーケティングや営業活動が非効率になります。
1. アプローチやフォローの抜け漏れ
対象となる顧客を集めようとしても、リストにあがってこない可能性があります。必要性を認識しないまま、フォローが疎かになる恐れもあります。社内にターゲットになり得る情報があるのに、機会を失うことになります。
2. アプローチの重複
逆に、複数のリストに同じ顧客の情報があり、他の担当者がすでにコンタクトを取った相手に同じアプローチをしてしまう可能性があります。「この前、同じメールをもらって断った」という状態になれば、相手に不快感を与えます。
3. 業務の煩雑化
顧客データが社内のあちこちに散在すると、複数のデータに対して同じ処理を繰り返すことになります。完了と未完了の把握や、該当データを探す作業が増えます。
4. 業務の属人化
営業が名刺交換で得た情報、カスタマーサポートが問い合わせ対応で得た情報は、共有されなければその担当者だけが知っている情報に留まります。担当者が離れた時点で、その情報は失われます。
3つの管理方法をどう比較するか
| 方法 | 費用 | 同時編集 | 履歴の紐づけ | 向いている規模 |
|---|---|---|---|---|
| Excel | 既存ライセンスの範囲 | できない | 手作業 | 担当者1人・獲得経路1つ |
| クラウドの表計算 | 無料で使えるものが多い | できる | 手作業 | 担当者数名・獲得経路1〜2つ |
| CRM | 月額課金が中心(無料プランのある製品もある) | できる | 自動 | 担当者数名以上・獲得経路2つ以上 |
Excelを使った管理
安価で簡単に導入でき、今すぐにでも始められます。ほとんどの社員は抵抗なく使えます。
ただし、関数やマクロとなると苦手意識がある人も少なくありません。また、同時編集は不可で、入力・編集するごとに保存操作が必要です。データ量が多くなると動作が遅くなりがちな点もデメリットです。Excel管理の詳細な利点と欠点はExcelでの顧客データ管理、メリットとデメリット解説にまとめています。
スプレッドシートなどクラウドの表計算ソフト
クラウド上には無料で使える表計算ソフトがあります。基本的にExcelと同じ要領で使えるため、手軽に導入できます。同時編集ができるため、担当者が複数いる場合の不便さは解消されます。
ただし、クラウドサービスのため、サーバーの障害などでデータにアクセスできなくなるリスクには注意が必要です。
CRMなどのクラウドツール
**CRM(Customer Relationship Management)**でも顧客情報を一元管理できます。マルチデバイス対応のクラウドシステムのため、どこにいても最新情報の入力・閲覧が可能です。担当者・部署をまたいだ情報共有も円滑になります。
表計算との最大の違いは、行動履歴や商談の進捗が顧客に自動で紐づく点です。 誰がいつ何を見て、どの商談がどこまで進んでいるかを、手作業でつなぎ直す必要がありません。
一方、ビジネスで使う場合は費用がかかるものが多く、導入や使い方に慣れるまでに時間がかかることもあります。無料で始められる製品もあり、Zoho CRMの料金と機能や無料で使えるHubSpot CRMで範囲を確認できます。
乗り換えの判断ラインはどこか
ライン1:同時編集が必要になったとき
担当者が2人以上になり、同じファイルを同時に開く場面が出てきたら、Excelは限界です。まずクラウドの表計算に移すだけでも、この問題は解消します。
ライン2:獲得経路が2つ以上になったとき
展示会の名刺とWebフォームが別々に管理され始めると、同じ会社の同じ担当者が二重に存在します。この状態はファイルを統合しても解決せず、どちらが最新かを判定するルールが要ります。 ここがCRMへ移る判断ラインです。
ライン3:履歴を追う必要が出たとき
「この会社と過去に何があったか」を担当者以外が確認する必要が出たら、CRMの領域です。表計算では、行動履歴を顧客に紐づけて持てません。
移行の手順
ステップ1:重複データを整理する
同じ会社の同じ担当者を1件にまとめます。ここを飛ばして全件を取り込むと、重複した状態から運用が始まります。
ステップ2:移す項目と移さない項目を決める
「全部入れる」より「使うものだけ入れる」ほうが、結果的に早く終わります。
ステップ3:項目を対応づけてから取り込む
主要なCRMはExcelやCSVからのインポートに対応しています。対応づけを済ませてから取り込んでください。
移行を含めた導入全体の進め方はCRM導入の流れ:7つの手順と、実際に止まる2つの工程で扱っています。
まとめ
顧客情報の管理方法は、Excel、クラウドの表計算、CRMの3択です。担当者が1人で獲得経路が1つならExcelで回りますが、同時編集が必要になったとき、獲得経路が2つ以上になったときが乗り換えの判断ラインです。
移行するときは、重複の整理と項目の絞り込みを先に済ませてください。全件を無整理で取り込むと、あとで整理する手間が増えます。
集めた顧客情報を何に使うか、システムをどう選ぶかは顧客情報の一元管理:システム選定と、集めたデータの3つの使い道で扱っています。トライエッジでは自社に合う顧客管理システムの提案から運用定着までを支援しています。詳しくはCRM構築・運用、ご相談はお問い合わせより承ります。
FAQよくあるご質問
Q. 顧客情報はExcelとCRMのどちらで管理すべきですか?
乗り換えの判断ラインは2つです。1つ目は同時編集が必要になったとき、2つ目は顧客情報の獲得経路が2つ以上になったときです。展示会の名刺とWebフォームが別々のファイルで管理され始めた時点で、同じ会社の同じ担当者が二重に存在する状態が生まれます。この2つに当てはまらず、担当者が1人で経路も1つなら、Excelで問題なく回ります。
Q. Excelでの顧客管理の限界はどこですか?
3つあります。1つ目は同時編集ができず、入力や編集のたびに保存操作が必要なこと。2つ目はデータ量が増えると動作が遅くなること。3つ目は関数やマクロを扱える人が限られ、その人しか更新できなくなることです。1つ目と3つ目は人数が増えるほど効いてくるため、担当が2人以上になった時点で見直しの検討に入ってください。
Q. スプレッドシートなどクラウドの表計算では足りませんか?
同時編集の問題は解決します。無料で使えるものが多く、Excelと同じ要領で扱えるため導入も手軽です。ただしクラウドサービスのため、サーバーの障害などでデータにアクセスできなくなるリスクには注意が必要です。また、行動履歴や商談の進捗を顧客に紐づけて持つ用途には向かないため、獲得経路が複数ある場合はCRMが選択肢になります。
Q. 顧客情報として集めるべき項目は何ですか?
オフラインでは展示会、セミナー、アンケート調査、テレアポ訪問、商談、購入履歴、飛び込み営業、電話問い合わせが該当します。オンラインではWebサイトの訪問・アクション履歴、Web経由の購入履歴、メールやフォームでの問い合わせ、会員登録、アンケート調査、広告、資料ダウンロード、ウェビナー申し込みが該当します。まずこの一覧で、社内のどこに何が散らばっているかを棚卸ししてください。
Q. ExcelからCRMへ移すときの手順は何ですか?
3ステップです。1つ目に重複データを整理し、同じ会社の同じ担当者を1件にまとめます。2つ目に、移す項目と移さない項目を決めます。3つ目に、CRM側の項目と対応づけてから取り込みます。主要なCRMはExcelやCSVからのインポートに対応しています。全件を無整理で取り込むと、重複した状態から運用が始まり、あとで整理する手間が増えます。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。