マーケティングの内製化:社内に残す業務と外に出す業務の線引き
マーケティングを内製化するなら、社内に残すのは戦略立案と自社ノウハウを扱うコンテンツ制作の2つです。Webサイトの制作やリニューアル、Web広告の運用は外に出したほうが速く、費用対効果も上がります。内製のメリット3点とデメリット3点、線引きの基準、内製化でつまずく点を整理します。
マーケティングを内製化するなら、社内に残すのは2つです。マーケティングの戦略立案と、自社のノウハウを解説するコンテンツ制作です。
Webサイトの制作やリニューアル、Web広告の運用は、外に出したほうが速く、費用対効果も上がります。 専門知識の習得に時間がかかるうえ、サイト制作は作り終えれば継続的に必要な技術ではないためです。
潤沢な人的リソースがあれば全部を内製化できますが、人手が不十分なら、この線引きで分けたほうが確実です。ここではその判断基準を整理します。
内製化すると何が変わるのか
マーケティング業務の内製化とは、これまで外注していた業務や施策を社内で行っていくことです。まずメリットを3つ挙げます。
ユーザーニーズを反映しやすい
マーケティングを内製化すると、自社の業界や顧客、商品やサービスを熟知した社員が業務にあたります。その知識や知見のレベルは、外注先より深いはずです。
実際に顧客やユーザーの反応(ニーズ)に触れ、何が役立つのか、どのようなコピーが響くか、同業他社との差別化には何が有効なのかも知っているでしょう。そのため、顧客やユーザーのニーズに合った施策が実行しやすいのです。
施策スピードが早い
マーケティング業務を外注する場合、業者選択や契約、打ち合わせの時間が必要となります。しかし内製化してしまえば、業務もコミュニケーションも自社で完結できます。
いいアイデアや企画があるときはもちろん、急な変更や方向転換が必要になった場合も、スピーディーに対応できるでしょう。
社内にノウハウを蓄積しやすい
社員が業務にあたれば、社内に自社独自のノウハウを蓄積できます。企画から運用まで、試行錯誤して積み上げた知見やノウハウは大きなプラスとなるでしょう。
プロセスのブラッシュアップを重ねる中で、次世代社員も育成できます。
内製化のデメリットは何か
一見良いことばかりに思えるマーケティングの内製化にもデメリットがあります。このデメリットが大きく影響するかは、企業の状況にもよるでしょう。
人件費が固定化する
外注費は、必要に応じて支払う変動的なもので、社内の財政が苦しいときなどはコントロールできます。
しかし、マーケティングを内製化する場合は、社内に専門知識やスキルを持つ人材が必要です。つまり、固定で人件費が発生します。マーケティング経験者は給与水準も比較的高いので、この点はデメリットといえるでしょう。
採用が難しい
マーケティングにおいて外注への依存度が高い組織ほど、内製化する際はマーケティング知識や経験を持つ人材の採用が不可欠です。事業運営におけるマーケティングの重要性が高まる昨今、有能なマーケティング人材を確保する難易度も高く、時間がかかるでしょう。
成果が出るまで時間がかかる
マーケティング施策において全般的にいえることですが、成果が出るまでには時間がかかります。多くの施策はPDCAを繰り返し、ノウハウを使い、顧客を育成する時間が必要です。知識や経験がまだ浅い段階では、さらに長い時間を要する可能性が高いでしょう。
社内に残すべき業務はどれか
マーケティング施策といっても、その種類は多岐にわたります。自社のマーケティングのコアとなる項目については、内製化するのが理想です。
| 区分 | 業務 | 理由 |
|---|---|---|
| 内製に向く | マーケティングの戦略立案 | 自社事業や商品・サービスを熟知していないと精度が出ない |
| 内製に向く | 自社のノウハウを解説するコンテンツの作成 | 独自の知見は社内にしかなく、見込み客のファン化に直結する |
| 外注に向く | Webサイト制作やリニューアル | 学習範囲が広く、作り終えれば継続的には使わない技術 |
| 外注に向く | Web広告の運用 | 競合が多く一定のノウハウが要り、細かい作業も伴う |
マーケティングの戦略立案
マーケティング戦略は自社のマーケティング活動の軸です。自社事業や商品・サービスを熟知する人材が深く関わり、考えていくべきでしょう。たとえば、ターゲットやペルソナの設定、コンセプトの策定、カスタマージャーニーの作成などがあげられます。
見込み客をどの経路から集めるかという設計もここに含まれます。手法の一覧はリードジェネレーションとは?獲得手法の一覧とチャネル別の効果測定にまとめています。
自社のノウハウを解説するコンテンツの作成
マーケティングで効果的なのが、さまざまなWebコンテンツの発信です。とくに自社が持つ独自のノウハウや、自社事業の分析から導き出した情報は、外部の書き手には書けません。
独自コンテンツづくりは内製するのがよいでしょう。見込み客の顧客化やファン化に役立ちます。作ったコンテンツを継続的に届けていく工程はリードナーチャリングとは?手法の選び方と、4つの効果測定指標、AI検索で引用される形に整える考え方はAEO(AI検索最適化)支援をご覧ください。
内製化でよくある失敗は何ですか?
1. 全部を社内に抱える
サイト制作や広告運用まで内製すると、学習に時間を取られ、戦略立案とコンテンツ制作が止まります。
2. 担当者を兼務のまま置く
週にどれだけの時間を使うのかを決めないまま始めると、他業務が優先されて施策が進みません。
3. 採用の期間を見積もっていない
経験者の採用は時間がかかります。採用が決まってから始める前提だと、その間の施策が空白になります。
4. 短期で成果を判定する
コンテンツ経由の成果は積み上げに時間がかかります。判定の時期を先に決めておかないと、途中で打ち切ることになります。
5. 外注できる業務まで抱え込む
内製の目的はコスト削減ではなく、自社にしか作れない部分に時間を使うことです。外注に向く業務は、外に出したほうが結果的に速く進みます。
外注先の選び方や、契約前に詰めておくべき条件はマーケティング外注の進め方:外注先の選び方と契約前に詰める3点にまとめました。
まとめ
内製化の判断は「できるかどうか」ではなく、「社内にしか作れないものかどうか」で決めてください。社内に残すのは戦略立案と自社ノウハウのコンテンツ制作、外に出すのはサイト制作と広告運用です。
内製にはユーザーニーズを反映しやすい、施策が速い、ノウハウが残るという利点があり、その一方で人件費の固定化、採用の難しさ、成果までの時間という制約があります。リソースを見て、線引きを決めてください。
トライエッジでは、マーケティング業務全般のご相談に対応しています。支援の内容はCRM構築・運用をご覧ください。ご相談はお問い合わせより承ります。
FAQよくあるご質問
Q. マーケティングのどの業務を社内に残すべきですか?
2つです。1つ目はマーケティングの戦略立案で、ターゲットやペルソナの設定、コンセプトの策定、カスタマージャーニーの作成が含まれます。2つ目は自社のノウハウを解説するコンテンツの作成です。どちらも自社事業や商品・サービスを熟知した人材でなければ精度が出ない、マーケティングのコアにあたる業務だからです。
Q. 内製化に向いていない業務は何ですか?
Webサイトの制作やリニューアル、Web広告の運用です。どちらも専門的な知識やスキルが必要で、学習範囲が広く習得に時間がかかります。しかもサイト制作は作ってしまえば継続的に必要な技術ではありません。広告運用は競合が多く、成果を出すには細かい作業も伴うため、費用対効果を考えると外注が向いています。
Q. マーケティングを内製化するメリットは何ですか?
3つです。1つ目はユーザーニーズを反映しやすいこと。自社の業界や顧客を熟知した社員が担当するため、何が響くかを知ったうえで施策を組めます。2つ目は施策スピードが早いこと。業者選択・契約・打ち合わせの時間が不要になります。3つ目は社内にノウハウが蓄積し、次世代の社員も育つことです。
Q. 内製化のデメリットは何ですか?
3つです。1つ目は人件費が固定化すること。外注費は必要に応じて調整できますが、社内人材の人件費は固定で発生し、マーケティング経験者は給与水準も比較的高くなります。2つ目は採用が難しく時間がかかること。3つ目は成果が出るまで時間がかかることで、知識や経験が浅い段階ではさらに長期化します。
Q. 社内にマーケティングの専門人材がいない場合はどうしますか?
戦略立案とコンテンツ制作だけを社内に置き、その2つについて専門のコンサルタントなどに伴走してもらいながら進めてください。判断そのものを外に出すと、施策が自社の事情から離れます。逆に、サイト制作や広告運用まで社内で抱えると、学習に時間を取られて肝心の2つが進みません。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/中野 三四郎(代表取締役CEO)。 2024年4月8日公開/2026年8月14日更新。