リアル店舗でも広がる「サブスクリプションモデル」とは:3つの成功事例
サブスクリプションモデルは、商品の数ではなく利用期間に対して課金する方式です。成功の分かれ目は、新規加入者を増やすことより脱落を防ぐことにあります。Amazonプライム、ZOZOのおまかせ定期便、Coffee mafiaという3つの事例から、共通する考え方と飲食店が導入する理由を整理しました。
サブスクリプションモデルとは、提供する商品やサービスの数ではなく、利用期間に対して対価を支払う方式のことです。
そして、このモデルで成功を分けるのは、新規加入者を増やすことより脱落を防ぐことです。 顧客は途中で契約をやめられるため、獲得した数だけを追っても積み上がりません。
Webサービスを中心に広がってきたこのモデルは、いまリアル店舗にも入ってきています。ここでは、性格の異なる3つの事例から、共通する考え方を見ていきます。
サブスクリプションモデルとは何か
「サブスクリプションモデル」とは、提供する商品やサービスの数ではなく、利用期間に対して対価を支払う方式のことです。多くの場合、「定額制」と同じ意味で用いられています。かつては家賃の支払いや書籍の定期購読など限られた分野でしか使われていませんでしたが、今や業界や分野の垣根を超えて広がりを見せてきています。
そんなサブスクリプションモデルの成功事例を、異なるジャンルで3つご紹介します。
なぜAmazonプライムは加入のハードルが低いのか

出典:https://www.amazon.co.jp/gp/prime/
サブスクリプションモデルの中でももっとも有名なAmazonプライムは、筆者も実際に利用しているサービスの一つです。
Amazonプライムに加入すると、商品購入時の送料無料やお急ぎ便(最短翌日配達)の利用など、Amazonで買い物をするときの特典はもちろん、音楽聞き放題や雑誌・書籍の読み放題、映画や動画の見放題など、多くのサービスを受けることができます。
2018年4月には、プライム会員が世界で1億人を突破したと発表されました。
Amazonプライムの成功ポイントは、
- 多くの価値を提供したこと
- 加入のハードルが低いこと
の2つだと考えます。
送料無料やお急ぎ便に加え、映画や動画の見放題サービスなどの会員特典を実施し、顧客は毎月決まった金額を支払うだけで多くのサービスを受けることが可能となりました。また、普段Amazonで買い物をしている人なら1クリックで加入できる点も、加入する際の心理的なハードルを下げているのではないかと考えられます。
「これだけのサービスが受けられるなら、とりあえず入っておこうかな」と顧客に思わせることに成功した点が、Amazonプライムの成功要因ではないでしょうか。なお、会費は改定されることがあるため、最新の金額はAmazonの公式サイトでご確認ください。
ZOZOはなぜ「顧客は友達」と言い切ったのか

次に紹介する事例は、**ZOZO「おまかせ定期便」**です。このサービスの最大の特徴は、顧客と関係を構築することに重きを置いている点です。
サブスクリプションモデルにおいて、顧客は途中で契約をやめることができます。そのため、企業は顧客との関係を継続していくことが非常に重要です。新規加入者を増やすだけではなく、脱落者を防ぐことも成功のポイントです。
ZOZO「おまかせ定期便」は、申し込み時のアンケートで、好みのテイストやサイズ感、気になる身体のパーツ、予算などを答えると、自分の趣向にあった商品が10点ほど定期的に送られてくるサービスです。送られてきたものの中から気に入ったものを購入し、不要なものは無料で返品することができます。
また、過去の購入履歴や採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」による計測結果も反映され、それらをAIが解析します。そして、その結果をもとに経験の豊富なスタッフが定期便で届ける商品を選定します。
顧客にこれまでにない価値を提供できるサービスとして話題を集めていますが、この根底にはZOZOという会社の顧客に対する考え方があります。
従来、マーケティングでの顧客管理手法は、米セールスフォース・ドットコム提唱の「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)」と呼ばれるものでした。しかし、ZOZOでは顧客を「友達」ととらえ、「カスタマー・フレンドシップ・マネジメント(CFM)」を提唱しています。
当初から顧客を親密なパートナーと考えてきたZOZOにとって、サブスクリプションモデルは非常に親和性の高いサービスモデルで、顧客に対する会社自体の考え方が大きな成功要因であったと考えられます。
実際、2017年末に発表したZOZOSUITの生産・数量確保に失敗し、なかなか発送が始まらないというトラブルが発生してもそこまで大きな批判が出なかったのは、顧客との良好な関係性があったからではないでしょうか。
飲食店がサブスクを導入する理由は何か

出典:http://coffeemafia.jp/plans
最後に紹介する事例は、実際に店舗を構えて営業している飲食店のサブスクリプションモデルです。今回は、西新宿と飯田橋で営業しているCoffee mafiaを取り上げます。
Coffee mafiaは、いち早く定額制を導入したことで知られるコーヒースタンドです。定額コースは2種類あり、ラージサイズコーヒーが対象のコースと、全てのソフトドリンクがいつでも一杯無料になるコース(一部例外あり)に分かれます。また、ディナータイムでは生ビールやハイボールが割引になり、同行者もアルコールドリンクの割引を受けることができます。 価格や条件は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。
飲食店がサブスクリプションモデルを導入する理由は、大きく分けて下記の3つだと言われます。
- 固定客の確保
- 話題性や会員の口コミによる新規客の増加
- 顧客データの収集
食べログなどの検索サイトが広く普及している今、飲食店が固定客を確保し続けたり、新規客を増やしたりすることは簡単ではありません。そこで、サブスクリプションモデルを導入して利用客に来店を促し、固定客を確保していきます。また、定額制を導入したことによる話題性や固定客の口コミで、新規客を増加させることが成功のポイントと言えます。さらに、定額制の会員となった顧客をカードやアプリで管理することにより、いつどのような人が何を注文したか等の顧客データを一元管理することが可能になります。顧客データを収集することで、今後の店舗経営の舵を適切に切っていくことができるのです。
Coffee mafiaでは、会員に対する定額サービスだけでなく、同行者もサービスを受けられるようにしたことで、同行者の加入意欲を高めることに成功し、会員数を増やしてきています。
サブスクリプションモデル成功のポイントは顧客に寄り添うこと
今回は、サブスクリプションモデルについて3つの事例を紹介しました。顧客に寄り添いながら、顧客が求めるサービスはなにか、顧客にとっての価値はなにかをしっかりと考え抜くことが、サブスクリプションモデルで成功するためのポイントと言えるでしょう。これはWeb上でのサービスでも、リアル店舗でのサービスでも変わらないところかと思います。
3つの事例に共通していたのは、顧客の状態を把握したうえで手を打っているという点でした。誰がいつ何を買い、どのくらい続けているのか。この記録がなければ、脱落の兆しにも気づけません。顧客情報をどこに置くかという話は顧客情報の管理方法3つの比較、案件と顧客のどちらを軸に記録するかはCRMとSFAの違いの記事、継続的な関係づくりの考え方はCRMとMAの違いの記事で扱っています。
これからもますます広がりを見せるであろうサブスクリプションモデルのサービスに、引き続き注目していきましょう。
トライエッジでは、CRMの導入支援だけでなく、マーケティングの支援も行っています。多種多様な手法の中から、企業様の目的に合わせたマーケティングプランをオーダーメイドし、実行までサポートいたします。詳しくはCRM構築・運用をご覧ください。ご相談はお問い合わせよりお願いします。
FAQよくあるご質問
Q. サブスクリプションモデルとは何ですか?
提供する商品やサービスの数ではなく、利用期間に対して対価を支払う方式のことです。多くの場合、定額制と同じ意味で用いられています。かつては家賃の支払いや書籍の定期購読など限られた分野でしか使われていませんでしたが、Webサービスを中心に広がり、現在はリアル店舗にも導入が進んでいます。
Q. サブスクリプションモデルで最も重要なことは何ですか?
脱落者を防ぐことです。サブスクリプションでは顧客が途中で契約をやめられるため、新規加入者を増やすだけでは成立しません。企業は顧客との関係を継続していく必要があります。ZOZOの例では、顧客を友達ととらえるカスタマー・フレンドシップ・マネジメント(CFM)という考え方が掲げられており、この姿勢が継続率を支えていると考えられます。
Q. 加入のハードルを下げるには何が必要ですか?
2つです。1つ目は提供する価値の量で、Amazonプライムの場合は送料無料やお急ぎ便に加えて、音楽の聞き放題、雑誌・書籍の読み放題、映画や動画の見放題が含まれます。2つ目は加入手続きの簡単さで、普段から利用しているユーザーであれば1クリックで加入できます。価格設定も含めて、迷う時間を短くすることが加入率を左右します。
Q. 飲食店がサブスクリプションを導入する理由は何ですか?
大きく3つと言われます。1つ目は固定客の確保で、利用客に来店を促すことで通う理由を作ります。2つ目は話題性や会員の口コミによる新規客の増加です。3つ目は顧客データの収集で、会員をカードやアプリで管理することにより、いつどのような人が何を注文したかを一元管理できるようになります。
Q. Coffee mafiaはどんな仕組みですか?
いち早く定額制を導入したことで知られるコーヒースタンドで、西新宿と飯田橋で営業しています。定額コースは2種類あり、コーヒーのみのコースと全てのソフトドリンクが対象になるコースに分かれます(一部例外あり)。特徴は、ディナータイムのアルコールドリンクの割引が同行者にも適用される点です。同行者の加入意欲を高める設計になっています。最新の価格や条件は公式サイトでご確認ください。
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出典・執筆:株式会社トライエッジ/森本 貴行(CRM/営業戦略)。 2024年3月29日公開/2026年8月14日更新。